陰謀論インフルエンサーに学ぶ!

金持ち脳
アキラ@ネット不労所得で快適に生きる人 2025.06.22
読者限定

この動画は、IT起業家を名乗る人物が、自身に降りかかる危機を訴え、視聴者に協力を求めるという構成になっています。

一見すると個人の切実な訴えに見えますが、ここには神経科学や進化心理学、ニューロマーケティングの観点から見て、非常に巧みな手法が幾重にも張り巡らされています。

1. 読者を虜にする仕掛け

まず、この動画で用いられている主要な手法を分解します。

一つ目は、「壮大な物語」の提示です。

物語は常に「我々 対 敵」という単純な二項対立で構成されています。

この動画では、真実を語る自分とそれを支持する視聴者が「我々」であり、その敵として「巨大な中国系の集団」や、それに加担する「メディア」「警察」「司法」といった巨大な権力が設定されています。

この単純明快な善悪の構図は、人間の脳が物語を理解しやすく、感情移入を促すための基本的な手法です。

二つ目は、「被害者としての自己演出」です。

講演会が中止に追い込まれたり、YouTubeの登録が勝手に外されたりするといった「迫害」を訴えることで、視聴者の同情と保護欲を強く刺激します。これは進化心理学でいう「内集団バイアス」を巧みに利用したものです。我々の仲間が不当な攻撃を受けていると感じると、集団の結束力は高まり、仲間を守ろうという強い動機が生まれます。

三つ目は、「権威性と信憑性の補強」です。

IT起業家という肩書きで専門性を演出し、「ジェイソン」「アーサー・チャオ」といった具体的な個人名や、「ビッグプロット著作権侵害事件」のような固有名詞を多用。

さらに、「アメリカのメディアに情報を流している」といった国外の要素を絡めることで、話のスケールを大きく見せ、簡単には事実確認ができない状況を作り出しています。これにより、視聴者は「これだけ具体的なのだから、何かあるに違いない」と、断片的な情報を自らつなぎ合わせて信じ込む傾向にあります。

四つ目は、「感情的な絆の構築」です。

少し困ったような、あるいは切迫した表情で、時折言葉に詰まりながら話すことで、完璧ではない人間的な弱さを見せ、親近感を抱かせます。そして「みなさん」と呼びかけ、チャンネル登録やいいねを「お願い」することで、視聴者を単なる情報の受け手から、共に戦う「仲間」や「支援者」へと心理的に引き込みます。これは、相手に小さな要求を承諾させることで、次のより大きな要求も受け入れやすくなる「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」の応用です。

2. 神経科学・進化心理学・ニューロマーケティングの文脈

これらの手法は、人間の脳の仕組みに深く根差しています。

神経科学的に見ると、恐怖や不安、怒りといった強い感情は、脳の扁桃体を活性化させ、論理的な思考を司る前頭前野の働きを抑制します。この動画は、巨大な陰謀や身の危険を匂わせることで、視聴者の扁桃体を刺激し、冷静な判断力を奪い、感情的な反応を引き出しやすくしています。

進化心理学の観点では、人間は集団で生き延びてきたため、「我々」と「それ以外の敵」を区別し、仲間を守ろうとする本能が備わっています。「迫害されている仲間を助けなければ」という義憤は、この本能に直接訴えかける強力なメッセージとなります。

ニューロマーケティングでは、顧客との感情的なエンゲージメントを重視します。この動画は、発信者を「商品」と捉えるならば、その商品がいかに魅力的で、応援する価値があるかを感情的に訴えかけています。視聴者は情報を消費するだけでなく、「深田萌絵を支援する」という行動を通じて、自己肯定感や集団への帰属意識という報酬を得ているのです。

「バズる陰謀論動画」作成のための指南

上記の分析を踏まえ、影響力の強い陰謀論動画を作成するための手引を以下に示します。

第一段階:物語の骨子を設計する。

まず、魅力的で分かりやすい「敵」を設定します。

敵は巨大で、姿が見えにくく、平和な日常を脅かす存在であるほど効果的です。

例えば「国際金融資本」「ディープステート」「特定の国の諜報機関」などが典型です。そして、自分自身をその巨大な悪にたった一人で立ち向かう「真実の探求者」として位置づけます。

第二段階:リアリティを混ぜ込む。

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